【2026年5月】月刊AI検索業界レポート
2026年5月は、Google検索に関する大きなニュースがいくつも重なった月でした。今年2回目となるコアアップデートの配信開始に加え、「AI検索にどう対応すればいいのか?」にGoogleが初めて公式回答を出した生成AI最適化ガイド、検索窓が25年ぶりに生まれ変わったGoogle I/O 2026、そして迷惑サイトへの新たな規制となるスパムポリシーの更新。このレポートでは、それぞれ何が起きたのかをわかりやすく整理し、来月に向けて注目すべきポイントをまとめます。
SECTION 01今月の重要アップデート:Google 2026年5月コアアップデート
2026年5月21日、Googleは「2026年5月コアアップデート」の配信を開始しました。コアアップデートとは、Google検索の検索順位を決める仕組み(アルゴリズム)を全体的に見直す大規模な更新のことで、特定のサイトを狙い撃ちにするものではなく、「より役立つ情報が上位に表示されるように」全体のルールを調整するものです。
今回は2026年に入って2回目のコアアップデートです(1回目は3月27日〜4月8日に展開済み)。展開完了には最大2週間かかる見込みで、6月初旬に完了予定です。なお、Googleは今回の更新について詳細を解説する専用ブログ記事は公開していません。
■ 引用元
SECTION 02Google公式からのお知らせ
① 生成AI検索の最適化ガイドの公開(5月15日)
5月15日、Googleは「生成AI検索向けにウェブサイトを最適化する方法」と題した公式ガイドを公開しました。
なぜこのガイドが重要なのか?
最近のGoogle検索では、AIが検索結果の上部に要約回答(AI Overviews)を自動生成したり、AIとの対話形式で情報を探せる「AI Mode」が使えるようになっています。「じゃあ自社サイトをAIに取り上げてもらうには、SEOとは別の対策が必要なのでは?」と考える人が増えていました。このガイドは、その疑問にGoogleが初めて公式に答えたものです。
ガイドの中でGoogleは、「生成AI検索への最適化は、検索体験の最適化であり、すなわち従来のSEOそのものだ」と明言しています。
つまり、最近業界で使われ始めた「AEO(AI Engine Optimization=AIエンジン最適化)」や「GEO(Generative Engine Optimization=生成エンジン最適化)」という概念について、Googleは「SEOとは別の新しい分野」とは見なしていないということです。良質なSEOがそのままAI対策になる、というのがGoogleの公式見解です。
さらに、SEO業界で「やった方がいい」と言われていた以下の施策についても、Googleは「Google Searchでは不要・非推奨」とはっきり否定しています。
- llms.txtファイル:AIがサイトを理解しやすいように専用ファイルを置くべき、という説がありましたが、Googleは「不要」と明言。Google検索のクローラー(サイトを巡回して情報を集めるロボット)は、そうしたファイルがなくてもサイトを正しく理解できます。
- コンテンツのチャンキング(分割):ページの内容を細かく分割した方がAIが理解しやすいという説がありましたが、Googleのシステムは1ページに複数のトピックが混在していても理解できるため、わざわざ分割する必要はありません。
- AIシステム向けのコンテンツ書き換え:AIが読みやすいように言い回しを変えるべき、という考え方もありましたが、AIは同義語や文脈を理解できるため、人間向けに自然に書かれた文章で十分です。
- 特殊なスキーマの追加:スキーマとは、Googleにページの内容を伝える「構造化データ」のことです。AI向けに特別なスキーマを追加しても、AIに引用される確率が上がるとは限りません。
■ 引用元
② Google I/O 2026:インテリジェント検索ボックスとGemini 3.5 Flash(5月19日)
5月19日に開催されたGoogleの年次開発者イベント「Google I/O 2026」のキーノート(基調講演)で、Google検索に関する大きな発表がありました(I/O自体は5月19〜20日の2日間開催)。
インテリジェント検索ボックス(Intelligent Search Box)
おなじみの「検索窓」が大幅に進化しました。従来はテキストを入力するだけでしたが、新しい検索ボックスでは画像・ファイル・動画、さらにはChromeで開いているタブまでをそのまま検索窓に放り込めるようになりました。たとえば、壊れた家電の写真を検索窓にドロップすれば、修理方法や交換品の情報を探してくれます。また、長い質問を入力すると検索窓が自動で広がり、AIが「こういうことが知りたいのでは?」と質問候補を提案してくれます。
Gemini 3.5 Flash の導入
Google検索の「AI Mode」(AIと対話しながら情報を探す機能)の裏側で動いているAIモデルが、最新の「Gemini 3.5 Flash」に切り替わりました。従来モデルより高速・高精度で、とくに「エージェント処理」(AIが自律的に複数の作業をこなす処理)やプログラミング関連の回答が得意とされています。
■ 引用元
③ スパムポリシーの更新:「戻るボタンのハイジャック」(4月13日発表)
こちらは4月の発表ですが、施行が6月のため本レポートでも取り上げます。
ウェブサイトを見ていて「戻る」ボタンを押したのに、元のページに戻れず見たこともないページや広告が表示された——そんな経験はないでしょうか。これが「戻るボタンのハイジャック」と呼ばれる手法です。Googleはこの行為を「悪意のある行為」として正式にスパムポリシー(迷惑行為に対するルール)に追加しました。
2026年6月15日
(発表から2ヶ月間の準備猶予あり)
サイト側が意図的に仕込んでいなくても、外部のJavaScriptライブラリ(広告タグなど)が原因で発生しているケースも違反対象になります
Googleによる手動のスパム措置、またはアルゴリズムによる検索順位の引き下げ
SECTION 03AI検索(AI Mode・Perplexityなど)の動き
Google AI Modeの進化:パーソナル インテリジェンス
2026年5月8日頃から、Google検索の「AI Mode」に「パーソナル インテリジェンス」という新機能が日本でも使えるようになりました。
パーソナル インテリジェンスって何?
ひと言でいうと、あなた個人の情報を踏まえて、AIがより的確な回答を返してくれる機能です。たとえば、Gmailに届いたフライトの予約メールや、Googleフォトに保存した写真、YouTubeの視聴履歴などと連携し、「今度の旅行先の天気は?」と聞くだけで、予約済みの日程・場所をAIが把握した上で答えてくれます。どのアプリと連携するかはユーザーが自分で選べ、いつでもオフにできます。
ただし、日本での初期提供は「Google AI Pro」「Google AI Ultra」の有料プラン加入者のみが対象でした。
その後、5月19日のGoogle I/O 2026で、有料プラン不要(サブスクリプションなし)で約200か国・98言語に拡大することが発表されました。
■ 引用元
OpenAI・その他プラットフォームの動き
2026年5月は、OpenAI(ChatGPTの開発元)を中心に、AIサービスが「情報を調べるツール」から「広告を出す場所」「商品を買う入り口」へと変わりつつある動きが目立ちました。大きく3つの流れがあります。
- ChatGPT広告マネージャーの機能強化:ChatGPT上に広告を出稿できる「広告マネージャー」に、1日の予算上限の設定、地域を絞った配信(ジオターゲティング)、成果一覧の合計表示といった新機能が追加されました。広告プラットフォームとしての本格化が進んでいます。
- Shirofune(シロフネ)との連携:日本発の広告運用自動化ツール「Shirofune」が、ChatGPT広告の自動運用に対応しました。広告主はShirofuneを通じて、ChatGPT上の広告出稿を自動で最適化できるようになります。
- Yahoo!ショッピングとの連携:Yahoo!ショッピングが「Apps in ChatGPT」に対応し、ChatGPTの会話の中からYahoo!ショッピングの商品を検索・閲覧できるようになりました。AIチャットがそのまま買い物の入り口になる一例です。
■ 引用元
SECTION 04海外で話題になった調査・記事
⚠ 注意
以下はGoogle以外の企業や研究者が独自に行った調査です。Googleの公式見解ではありませんが、AI検索の傾向を理解するうえで参考になる情報です。
スキーママークアップとAI引用の相関
SEOツール大手のAhrefsが、1,885ページを対象に「構造化データ(スキーマ)を追加すると、AIに引用されやすくなるのか?」を調査しました。
結果は、スキーマを追加しても、AI Overviews(Googleの要約回答)やChatGPTに引用される回数は目立って増えなかったというものでした。SECTION 02でご紹介したGoogleの公式ガイドが「特殊なスキーマは不要」と述べていることとも一致する結果です。
ChatGPTの引用傾向
同じくAhrefsのGlen Allsopp氏が、ChatGPTが回答の中でどんなサイトを引用しているかを大規模に調査しました。750個の「おすすめの◯◯」という質問に対して、ChatGPTが引用した26,283件のURLを分析した結果がこちらです。
(Ahrefs調査・26,283 URL分析)
つまり、ChatGPTは回答を作る際に「おすすめランキング」形式の記事を特に多く参照する傾向があるということです。コンテンツを作る際のヒントになりそうです。
クエリファンアウト技術
ChatGPTのようなAI検索ツールが回答を作る裏側では、意外な仕組みが動いています。あなたが1つの質問をすると、AIは内部でその質問を複数の関連する検索クエリ(検索キーワード)に分解し、それぞれの結果を集めて1つの回答を組み立てているのです。この仕組みは「クエリファンアウト」と呼ばれています。
AI分析企業のAirOpsの調査によると、ChatGPTは15,000件の質問に対して合計43,233件のクエリに拡張し、89.6%の質問で2回以上の追加検索を行っていたことがわかりました。1つの質問の裏で、AIは想像以上に多くの情報を集めているわけです。
■ 引用元
SECTION 05国内業界の動き
GA4「AI Assistant」チャネルの追加
2026年5月13日、Googleはウェブサイトのアクセス解析ツール「GA4(Google Analytics 4)」に、新しい分類項目「AI Assistant」チャネルを追加しました。
これは何がうれしいの?
これまでは、ChatGPTやGemini(Googleの対話AI)からサイトに訪問した人のアクセスが、どの流入元から来たのか正確にわからないケースがありました。今回の追加により、ChatGPT・Gemini・Claudeなど主要なAIアシスタント経由のアクセスが、GA4で自動的に「AI Assistant」として分類されるようになりました。設定は一切不要で、GA4が自動で認識してくれます。
新たにGA4に表示されるようになった項目:
ai-assistant
AI Assistant
(ai-assistant)
⚠ 知っておきたい注意点
PerplexityやMicrosoft Copilotがこの自動認識リストに含まれるかどうかは、Googleからまだ公式な確認がありません。また、スマートフォンアプリ経由でAIからサイトに来た場合、「どこから来たか」の情報(リファラー)が送られないことがあり、「ダイレクト(直接アクセス)」として分類されてしまうケースがあります。なお、5月13日より前のデータにはこの分類は適用されません。
■ 引用元
SECTION 06弊社見解 ─ 来月注目すべきポイント
5月はGoogleから大型の公式アクションがいくつも重なった、非常に密度の濃い月でした。中でも「生成AI最適化ガイド」の公開は、「AEO」「GEO」といったバズワード(流行語)に対してGoogleが明確な答えを示したという意味で、大きな転換点です。
ただし、その答えは「何か新しいことをしなければならない」ではなく、「良質なSEOをちゃんとやっていれば、それがそのままAI対策になる」というものでした。来月は以下の3点に注目していきましょう。
6月初旬に展開が完了する予定です。完了後に、自社サイトの検索順位やアクセス数がどう変わったかを確認しましょう。Google Search Console(サーチコンソール)の「パフォーマンスレポート」で、アップデート前後の期間を比較するのがおすすめです。
5月13日からデータが蓄積され始めています。自社サイトにどのAIツール(ChatGPT、Geminiなど)からどれだけアクセスが来ているか、今のうちに「基準値」を把握しておくと、今後の変化を追いやすくなります。Perplexityなど一部のAIツールは計測から漏れる可能性があるので、その点は注意が必要です。
Googleは「llms.txt」「特殊なスキーマ」「コンテンツのチャンキング」をはっきり「不要」と言い切りました。もしこれらに時間やコストをかけていた場合は、見直しのタイミングです。代わりにGoogleが推奨しているのは、AIが回答を作る際に引用しやすい「きちんと構造化された、オリジナルで質の高い情報コンテンツ」です。
本レポートは公開情報に基づいて作成しており、記載のURLはすべて本文内容の確認に使用した実在のソースです。
最終更新:2026年5月27日
